1年生議員でもわかる議員間討議のススメ方

HOME < 目次 < 15.自由討議の成功例③~自由討議で賛同を得る~






◆質疑→自由討議→質疑→自由討議…の流れでより議論は深まる

<説明>
理事者:現金の横領については、分譲マンションの管理組合で起こったもので、市営住宅の指定管理者とは現金の取り扱いが違うため、指定管理について問題がない。
また、市の契約課にも確認、指名停止基準に該当しない。
それに国土交通省からマンション管理適正化法に基づく処分が出された場合に市営住宅の指定管理業務が支障なく実施できるかについて確認、マンション管理適正化法の業務範囲に公営住宅というのは及ばないという答え。よって、市営住宅などの指定管理は通常どおり遂行できるとの回答。

<質疑>
否決派:マンション適正化法に基づくとか、市営住宅は別だなどは、市民にとって分かりづらいし、理解し難い。市民にどう説明するのか?

理事者:事後の対応は誠実に迅速に行っているので、技術的な対応はできていると思う。

否決派:審議会開催時は、この事件は発覚していない。もう一度審議会を開くべき。

理事者:委員長から欠格事由に該当しないなら問題ないとの返事。

否決派:2代続けて市長が逮捕された市であり、信頼回復が優先。そんな中こういう指定管理者を指定することに市民の理解は得られない。

理事者:事件後の対応等や、また充実したサービスを提供してもらえるものとして議案をとりまとめた。

否決派:居住者や市民への十分な説明とは?不安を広げるだけではないか。審議会の選考中に、この事件が発覚していれば、点数に影響は?

理事者:今、説明している原因とその対策、公金の取り扱いの方針について、審議会でも、より明確に質疑応答があり、その結果どう審査されるかというと、多分差が出てくる。

否決派:指定管理者の責任は誰が取るのか?

理事者:個人の横領だが、その会社に責任を取っていただく。

否決派:指定管理でも、委託でも、最終的な責任は市である。

<自由討議>
賛成派:欠格事由に該当しない。これでは会社の全否定だ。

否決派:全否定ではない、会社としての責任問題である。

<質疑>
賛成派:市としてこの会社を指定管理者として議案にしたのは、欠格事由に当たらないし、差し替える理由もないから提案しているのか?

理事者:法的な抵触がないか、事件発覚後どう取り組んできたか、本市でも同様の事件が起こらないよう対応策を考え、再度調査も行った。その結果として、議案として提案している。

<自由討議>
賛成派:市が選んだ判断が妥当かどうかが論点である。反対する理由は?

否決派:市長が逮捕された我が市で、直近に横領した企業を指定管理者にしてよいのか。公平公正に審査するため、もう一度審議会で審査し直すべき。スケジュール的に審議会で審査し直す時間がないから、この会社にして欲しいとしか聞こえない。

賛成派:妥当でないというより、積極的に選べないから反対なのか?

否決派:審議会の選考が終わってからこの事件が発覚した。その後スケジュールもない、欠格事由にも該当しない。だから市は議案で出してきた。市の議案の出し方が妥当かどうかが論点ならば、もう一度公平公正に審議会で審査し直すべきである。

否決派:議案が否決される場合もある。それも踏まえて上程の時期を考えておくべき。


<討論>上記の議論と同様の内容で行われた。

<まとめ>
①この議案の争点は、質疑、自由討議で明らかになったように、指定管理者を指定する議案は、今回の事件ようなリスクや否決される場合もあるため、9月議会には上程しなければいけない。本議案は、12月議会に上程されたため、スケジュール的に後がなかった。それが問題なのである。

②今回の議案で合意形成を図るならば、再度審議会を開き、審査し直すということになるだろう。

③もし、今回の議論で自由討議がなければ、
賛成派は、欠格事由には当たらないので賛成となり、
反対派は、2代続けて市長が逮捕された市で、横領事件を起こした企業を指定管理者にした説明をどう市民へ行うのか、という内容で終わっていたはずである。




<< 目次 >>

0.はじめに~この冊子の目的~


第1章 自由討議ってなんだ?(自由討議の極意)

1.自由討議で何ができる?~自由討議は議員に対して有効だ~
2.なぜ自由討議が必要なのか?
3.もし自由討議がなければ、住民にどう説明するのか
4.自由討議のポイント~基本フレーム~
5.自由討議の極意
6.委員会審査に自由討議~議案審査を重視~
7.論点整理の導入(重要)
8.委員会報告書で説明責任を果たす(重要)
9.第1章のまとめ、自由討議を有効に活用しよう!



第2章 自由討議を活用しよう(自由討議の実例)

10.自由討議の失敗例①~合意形成を図ろうとしない~
11.自由討議の失敗例②~自分の意見しか言わない~
12.自由討議の失敗例③~自由討議を活用しきれなかった~
13.自由討議の成功例①~委員長として合意点をまとめる~
14.自由討議の成功例②~委員長として提言をまとめる~
15.自由討議の成功例③~自由討議で賛同を得る~
16.自由討議の活用方法①~多数決で負けそうな時、あなたはどうしますか~
17.自由討議の活用方法②~多数決で負けそうな時、あなたはどうしますか~
18.自由討議の成功例④~多数決で負けても附帯決議を勝ち取る~



第3章 自由討議を導入しよう(自由討議の簡単導入方法)

19.自由討議のススメ方~議案審査に力を入れる~
20.議案審査のススメ方(全体の流れ)~自由討議の導入のポイント~
21.議案審査のススメ方(1日目)~議案説明→資料要求→論点整理~
22.議案審査のススメ方(2日目)~質疑→自由討議→討論→採決~
23.議案審査のススメ方(3日目) ~委員会報告書協議→決定~
24.委員長のリーダーシップ①~合意形成には委員長の役割が最重要~
25.委員長のリーダーシップ②~良い意見は委員会の提言に~
26.自由討議のルール化~対象は全議案~
27.自由討議と会派制
28.少数意見が議会の議論や審査に反映されないのでは?
29.人格をもつ議会として
30.自由討議を機能させるために~私の思い~